経済リポート『中小起業基本条例の早期制定を望む』に弊社会長が掲載されました

 

「地域の中小企業を軸に産業振興を進めていこう」という当社会長の取り組みが2018年経済レポートに掲載されました。

 

 

【経済リポート 2018年5月20日掲載記事】

 

 

中小企業基本条例

早期制定を望む

まちを下支えする中小企業に光を

 

 中小企業は日本の産業を下支えしている。だが、実際に経済の主導権を握っているのは一部の大企業だ。今回取り上げる「中小企業基本条例」は、そんな中小企業にも発言する機会を保証し、地位向上を図り、地域の活性化を担っている現状に即した誇りを持とう―と全国で広がっている運動だ。広島県ではようやく今年度からスタートする。47都道府県最後という不名誉な船出となったが、市町村などの行政単位ではまだまだ遅いわけではない。地方都市の活性化を促す特効薬となるか、期待をこめて紹介したい。     (山田富夫)

 

 17年度の中小企業庁の発表では、国内の大企業1・1万者(従業員数1433万人)に対し、中小企業は380・9万者(3361万人)と99・7%(従業員数は約70%)を占めている(うち小規模事業者は325・2万者、1127万人)。日本経済はリーマンショック後の09年に大幅ダウンしたものの、現在は堅調に右肩上がりを続けている。特に経常利益は過去最高水準にあるという。だが中小企業の売上高や生産性は伸び悩んでおり、下請中小企業振興法の改正なども行われている。  現状は企業数全体が減少傾向にあり、小規模事業者の廃業も多い。「新規開業の停滞、生産性の伸び悩みに加えて、経営者の高齢化や人材不足の深刻化といった構造的な課題が進行している。今後、更なる労働力人口の減少や企業間の国際的な競争の活発化等の経済社会情勢の変化に対応して、中小企業の経営力の強化を図り、生産性を向上させ、活力ある担い手を拡大していくことが日本経済にとって重要である。」と17年版中小企業白書概要(中小企業庁調査室)でまとめられている。

 

中小企業憲章から

 2010年に「中小企業憲章」が閣議決定されたのを機に、全国で中小企業振興基本条例の制定が叫ばれ、先進的な都市では次々と条例を採用してまちづくりに活かし始めている。府中市ではいち早く、広島県中小企業家同友会の立石克昭代表理事(64、㈱タテイシ広美社会長)=写真=が発起人となって13年頃から会合を開き、市議や商議所職員、同友会会員らが参加して、府中市に即した基本条例の在り方を話し合ってきた。

 立石代表理事は「補助金を要望するものでなく、中小企業の地位向上をはかって地元での就職希望者を増やし、地域と企業とが一体となってまちづくりを行っていくことなど、市の活性化に大きく寄与できる機会を作っていきたいと熱望しているのです。そのために円卓会議を開き、中小企業と行政、教育などを合わせて考えていきたい」と話す。その参考例としてあげたのが、宮城県仙台市や広島県廿日市市での取り組みだ。

 

仙台市の取り組み    

 仙台市は「仙台市中小企業活性化条例」を制定し、15年4月から施行した。「仙台市の持続的な発展には、市の礎である中小企業の活性化が不可欠であり、基本的方向性や果たすべき役割を明確化し、必要な施策を総合的に推進するために条例を制定した」と謳い、基本的な取り組みとして経営基盤の強化や企業間・大学・NPOなどとの連携を深め、若者や女性の創業、地域と協働して行う活動への支援、経営者や中小企業振興団体の代表者、学識経験者などによる円卓会議を通し、PDCAサイクルをしっかりと回して検証しつつ先に進めていく、という仕組みを作った。

 

廿日市市の事例

  廿日市市では、08年に計画した「廿日市市商工業活性化ビジョン」によって、新商品開発等補助事業、広島工業大学研究室訪問事業、中山間地域のにぎわい創出事業、創業支援施設(しゃもじんキューブ)の開設、創業・起業支援講座(しゃもじん創業塾)、産業連関強化塾などの事業が奏功し、市内の商工業事業者、農林水産事業者、観光事業者などの連携の機運が醸成されつつあるという。期限終了が近づいた16年には「産業振興ビジョン」を策定。「同市内の商工業、農林水産業、観光関連産業等の連携をより一層推進し、経済的自立性を高めるため、産業振興の方針及び戦略的取組を明らかにする」ことを趣旨とし、10年間のスパンで「第6次廿日市市総合計画」を立てた。人口減少や新興国市場の拡大と国際的な経済連携の進展といった課題や、地域資源を活用した事業活動による地域活性化、情報通信技術の更なる進化による社会変化を元にした将来設計も視野に入れている。そして以下の「産業振興の基本方向」を打ち出した。

 

●「循環させる」…商業(卸売業・小売業)などの地域内「循環」を高め、農林水産業の生産品に付加価値を創り出し、域内(市内+都市圏)の供給と需要を循環させる、として①「フードバレーはつかいち」の創出、②「木のたびネットワーク」の形成、を上げた。①は地元特産物と産学連携で商品を作って6次産業化を促進。体験や食育を通して地産地消への理解を深めた。②は市産材活用の仕組み作りやデザイン性やストーリー性など消費者の共感を得る新商品開発や販売手法による新たなビジネスモデルの創出などに注力。生産者から加工までをネットワークで結んでいる。

 

●「呼び込む」…域内の観光や商業のにぎわい、暮らしに対する「外需」を増やし、域外(市外・海外)から消費を呼び込むこと、として観光まちづくりのマーケティング/マネジメント機能の強化、を上げた。ニーズの分析から観光消費に結びつく既存事業の見直し、新たな事業化・ビジネス創出を増やし、観光に関するヒト・モノ・カネ・情報のマネジメントのもとで観光消費を拡大させる。幅広い産業領域、市域全体の魅力やまちづくりが効果的に結びついて観光の総合産業化が図られ、住んでよし、訪れてよしの観光まちづくりを進める。

 

●「打って出る」…市経済を牽引する主要製造業(食品、木材、機械・化学)などが成長市場に挑戦し、域外(市外)の市場に打って出る。そのために産業支援プラットフォームの構築、経営支援による企業等の生産性の向上が必要であり、産学金官の連携で協働する産業支援プラットフォームの構築や中小企業施策(農商工連携支援、地域資源活用支援、新連携支援)の推進などが望まれるとしている。 以上の産業インフラの整備を進める具体的な方策を練ることが同市の次の課題であり、そこに各市ならではの特長が活かされてくる。

 

まとめ    

 府中市では先進的な取り組みとして、地域と学校とを結び子育てを行うCS(コミュニティスクール)を展開(19年度に府中1中が導入して市内全校で実施)。人口減少にあえぐ地方都市にとって、子育て推進は活性化の鍵だ。このCSこそ円卓会議の土台になることが期待されている。